月の土地は誰のもの?

宇宙の話、月の話は何度聞いてもワクワクします。

アポロ計画前後の最高に壮大な逸話の数々、技術的な進歩、
"ライトスタッフ"や"アポロ13" のプロフェッショナル達、
フォン・ブラウンとセルゲイ・コロリョフのロケット競争

などなど 1950〜1970年の宇宙開発の歴史は、オタクならば
何度でも語りたくなってしまう楽しさに溢れています。

その中でも"月への挑戦"はこの時代を語る上での
クライマックスにふさわしい人類全体が夢に見た
1つの到達点だったと思います。

アメリカはもちろん、世界中の人間が同時にアポロ宇宙船から
送信されるライブ映像を見つめ、任務の成功とクルーの無事な帰還を
祈りました。
こんな奇跡は歴史上後には先にもそう何度もないことです。

月は古代の文明の史跡などからも分かる通り
人類の永遠の憧れの的でした。
そんな月ですが、実は、月面上の土地を個人で購入することができます。()
(ここから本題です)

月の土地はだれのもの?

アポロ計画によって、月は人類が到達して歩ける"土地"になりました。
ではこの土地は一体誰のものなのでしょうか?

宇宙空間の権利に関する国際的な取り決めは基本的には
1966年国連で採択されたその名も 宇宙条約 があります。

この条約には

  • 宇宙空間や天体は全人類が自由に探査・利用していいよ
  • 国家が宇宙空間や天体を領有しちゃだめだよ
  • 宇宙空間に核兵器とか兵器を配備しちゃダメだよ
  • 宇宙で人工衛星なんかが事故を起こしたら国家が賠償するんだよ
    なんてことが決められています。

おもしろいのは 宇宙の天体は国家が所有してはならない としか書いておらず
個人(や法人)が所有していいか悪いかはなんとも言っていないということです。

ここに注目したのがデニス・ホープ氏で、彼は月の所有権の申し立てを
試み、正式に受理してもらえることを確認しました。
その後 アメリカとソ連に 月の権利宣言書を提出、他に所有権を主張する個人など
異議がなかったので(そりゃそうだ)この宣言書は有効になり
彼は月の土地を販売する不動産業をスタートしました。

そうして彼が設立した会社が ルナエンバシー社 で、
世界中の人が月の土地を合法的()に買うことができるように
なりました。

月の土地の価格は?

月の土地は 1エーカー単位で販売されています。
エーカーという単位はピンときませんが
(くまのプーさんが好きな人は 100エーカーの森が頭に浮かぶ?)
だいたい 1200坪 64mx64m くらい の大きさです。

この1エーカー分の土地が 2700円(現在) で購入できます。
購入すると 土地の権利書の写しや 自分の土地が大体の位置が分かる地図
それに 月の憲法 なんてものが一緒に送られてきます。

+500円ほどで 特製のオーナーシップカード がついてくるパッケージがあるので
そちらがおすすめです。
というのも、土地の権利書などは A4サイズの紙で 傷つきやすく
頻繁に出したり、人に見せびらかす 用途には適しません。

月の土地の購入はロマン要素10割なので、手軽に眺めて ニヤニヤできる
カード付きが幸せになれます。

実際のブツ

△これが基本セットの 紙3枚 です。
左から 権利書 地図 憲法 ですべて英語で書かれています。
地図には小さく朱色の点がついており、そこが自分の土地の位置です。

△これが噂のメンバーズカードです。
名前や土地の場所などが刻まれていていい感じです。
横に写っている商品説明書ですが
この中に 権利書などの日本語訳 が入っています。

購入方法

実際の購入は
ルナエンバシージャパン のサイトから
日本語で購入できます。ルナエンバシーの日本代理店で、米ルナエンバシー社に
対して権利申請を代行して権利書等を送ってくれます。
支払いですが、クレジットカードはもちろん コンビニ払いも可能です。

ぶっちゃけ(本当に合法?)

ここまで書いておいてなんですが、
前述のとおり、月の土地の所有宣言はかなり怪しい
条文の穴を根拠に行われています。
そのため、土地の所有権の有効性はかなーーり薄いです。
どこの国でも月の土地の登記なんてできませんしね…。

簡単に言えば
月の土地は俺のもの! と大声でいったら誰も自分のものだとは
主張しなかったから俺のものでいいよね? というだけです。
そうやって"手に入れた"土地を分譲してもらっているので
怪しいのは明らかです。
"土地の購入"に際して、サインも印鑑も必要なく
超低価格なのはこのためです。

詐欺と言い切っちゃう人もいますが、
それはそれで夢がないですし
3000円ちょっとでロマンが買えることに満足できる人向け
と理解したうえで楽しめばいいとおもいます。

ルナエンバシー流の法律解釈を借りれば
月に俺の土地がある と主張することは違法ではない
(ただし、どの国家の主権も及ばないため所有権をだれも保証しない)
ということで良いんじゃないですかね?

将来武装集団と化したルナエンバシー社かアスガルディア国あたりが
月を占領して支配確保したうえでこの権利書が有効だと
言ってくれれば有効に成る可能性が…!?

ちなみに1

購入できる土地の場所は指定できませんが、必ず 月の表 の土地なので
購入した土地は望遠鏡で眺めることができます。
何年か前、初めて月の土地が買えるということを知った時、
まっさきに アポロ13が目指し、アポロ14が着陸した フラマウロか
有名なアポロ11の着陸地点 静かの海 周辺の土地が買えないか
ググった覚えがありますが、前述のとおり土地の位置は指定できませんし
アポロ着陸地点など重要な地点は分譲地から除外されています。
まぁ当然といえば当然です…
かりに購入可能でも個人では到底出せない価格に高騰するはずなので
今の方が公平?な気がします(貧乏人の感想

ちなみに2

ルナエンバシーは、法の抜け道を使うような形で月の不動産販売を
開始したわけですが、昨年2015年にアメリカで これを追認するような
法律 2015年宇宙法 なんてものが可決しました。
"2001年宇宙の旅"意識されすぎ

この法律は 宇宙時代のホームステッド法 と言えるもので、
個人や法人が宇宙空間の天体などを開拓したり、そこにある資源を商用利用
することを認めた初めての法律です。
例の 宇宙条約と照らしてどうなんだとのツッコミもあります。

まとめ

ロマン派のオタクもおしゃれなプレゼントをお探しの人も
月の土地、買いませんか?

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